剣岳 点の記

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「剣岳 点の記」監督脚本木村大作。脚本菊池淳夫、宮村敏正。
 出演浅野忠信、香川照之、宮崎あおい、仲村トオル他。
 あの名カメラマンが監督した。美術監督の木村威夫が監督
するんだから誰がやってもいい。
でもそれが大ヒットになることは珍しい。
 長年暖めていた本人の企画を深作も森谷司郎もいない今。
自分でやるしかなかったのだろう。
2番館でもお客さんは、結構入っていて十分感動して見ていた。
何が成功したのか。
 それは、真正面から険しい剣岳をきちんと撮ったということ
に尽きると思う。実際何ヶ月もスタッフ俳優部山に登り放しだ
ったという。雪崩にしてもCGを使わない実感が俳優の顔に出て
いた。「八甲田山」といい厳しい自然との葛藤というテーマは
日本人の中に深い記憶としてあるんだと思う。
つまり日本人は困難な自然にただ測量のために挑むという苦行
を乗り越えるお話が好きなんだ。
それを逃げずにしっかりと撮っていたことが成功だった。
 俳優陣もいま邦画のスターばかりが出てもり立てている。
これを木村さんじゃなく制作のフジの監督連がやったら
この同じ俳優陣でも総花的で決して成功しなかったと思う。
それは、配役では香川が必ずしもいいとは言えないし、仲村は
しっくり役に入ってなかった。香川はある意味黒澤映画でいえば
「デルス」役。あんなに地方の山の案内人が聡明な目をしてい
るだろうか。次ぎのセリフも浅野のセリフもみんな知っている
顔だ。測量士の浅野より偉く見えてしまう。演技的に姿勢を低く
して役を見せていたが目がどうも偉そうで学があるように見え
て仕方なかった。やはりこの案内人の宇治長次郎は、聡明より
純粋というテーマで演じなければならなかったのではないか。
いい俳優なので残念である。
 それでも全体に厳しい山での撮影が緻密に撮り重ねられて
見終わって深い感動がある。もし森谷司郎がこれを撮ってい
たら、俳優たちの細かい演技設計のミスは訂正されていたのか
と思うがそれは、いま言ってもしかたない。
現場でいつも厳しい(フランスの監督に殴りかかったり、ジョージ
・ケネディを泣かしたり)撮影監督の木村大作さんは、偉すぎて
何年に一本しか仕事が来ない苦しみからこれで解放される。
自分で撮ればいいということが認知されたから、監督業に
これから入っていくのかなと思うが、いまの邦画界何をやって
もいい。若手がこども映画をやれば爺さんは大人の映画をやれ
ばいい。これもブロックブッキングが壊れたお陰かも知れない。
とにかく気持ちのいい映画になっていて劇場で観るべき映画
らしい映画だった。
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by stgenya | 2009-11-18 06:28 | 映画・ドラマ
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