目白三平物語うちの女房(鈴木英夫特集)

d0068430_1144356.jpg

「目白三平物語うちの女房」脚本井手俊郎、監督鈴木英夫
昭和32年東宝、原作中村武志、出演佐野周二、望月優子、団令子
 先週から渋谷のシネマヴェーラではじまった鈴木英夫特集の一
本。当時国鉄マンで作家だった中村武志の人気原作シリーズでこ
の後四年間に筧正典監督らと数本のシリーズが出来た。
 その最初の映画がこの映画「ーうちの女房」(後半のシリーズで
は笠智衆が主演する)。笑いとペーソスのお手本のような映画だ。
 ぜひこの期間中に観てもらえるといいと思う。
子供ふたりのしがないサラリーマンの家庭劇。夫が箱根に一人で
知り合いの旅館へ息抜きに温泉旅行へいく。妻と子供は留守番。
しかし夫は旅館の隣の部屋に自殺志願の青年がいて結局深夜まで
悩みを聞く羽目になり、寝不足で帰宅する。女房は女だって息抜
きほしいわと呟く。女学校の同窓会の報せが来て行こうか迷う。
 そんなとき町内のダンス講習会へ夫三平は誘われて八百屋の娘
とダンスをする。そしてワイシャツに間違って口紅が付いてしまう。
夜帰宅すると妻望月優子は、本当に弾みで付いたかどうか、確か
めるために自分も口紅を塗って三平と踊ってぶつかってみる。
妻の疑いは晴れたけど、私と踊ってと深夜夫婦でダンス。
 この件の望月優子がすばらしい。絶妙の演技をする。ここだけ
でも喜劇をやる人は観ておくべきだ。普段社会派のリアリズムの
演技で知られる望月だが、怖い顔、寂しい顔、うれしい顔、これ
らを絶妙のタイミングで演じる。すると家庭にいる妻の切なさが
際立つ。それが又可笑しくて何回観ても笑ってしまう。
 ストーリーは、この後ダンスを誘った八百屋の娘の縁談話と初
めに出てきた箱根の自殺志願の青年佐原健二とへつながっていき
シナリオの名手井手俊郎さんのエンターテイメントの見本を見せ
てくれる。
 今回観てさらに簡単なシチュエーションだけでこんなにドラマ
をつくれるのかと感心してしまう。今特に邦画の脚本力と監督術
が落ちている中、若手の作家たちもいい勉強と参考になると思う。
限られたセットとシチュエーションをどうすれば面白くするか。
それは取りも直さず人間をいかに面白くみせるかに尽きる。
 そして又この映画を観ていて、働いて家庭をもって、共同体と
のつながりがあって、まじめに生きている日本人という姿の証言
映像を見た思いがした。
 これらは、今だとアニメの「サザエさん」の世界に残っている
幻の日本像だと言える。
 そして鈴木英夫監督というのは、本来サスペンスの名人で「彼
奴を逃がすな」や「殺人容疑者」などの名作がある。このあとも
劇場で再度観てみようと思う。
[PR]
by stgenya | 2010-04-25 12:49 | 映画・ドラマ
<< クロッシング シャッター・アイランド >>