クロッシング

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「クロッシング」脚本イ・ユジン、監督キム・テギュン
出演チャ・インピョ、シン・ミンチョル、ソ・ユンフア他
 2008年韓国映画。配給太秦。
北朝鮮の脱北者の話。二年も日本上映が遅れた。それには
シネカノンの李鳳宇氏が絡んでいたらしい。手付けの10%だけ
金を制作者に渡して上映しないで放置している間にシネカノンが
倒産した。韓国側はどうもわざと上映しなかったと怒っている。
 ゴールデンウィークの最中銀座シネパトスで長蛇の列が出来て
入りきらないぐらい満員の客席だった。
 前評判から悲しすぎる内容で涙がとまらないと言われていて
実際観てみると、思ったより表現が抑えられていてむしろ淡々と
ストーリーが展開してゆく。それは監督の映画の眼力だろうと
思う。だから自然に観れて後々ココロに残る映画になっていた。
 ストーリーは、サッカーの国代表で将軍様から表彰されてテレ
ビを貰ったぐらいのサッカー選手で炭坑夫の父と結核で寝込んで
いる母とをもつ一人っ子のジュニの家庭を通して北朝鮮で生きて
行くことがどれだけ過酷かを物語って、毎日の食べるものがどんど
ん減って行って栄養のない食事で母の結核は深刻になる。
 ある日父は母のために肉をごちそうする。ジュニは喜ぶが、可
愛っていた飼い犬がいないことに気づいて父を非難して泣き出す。
 悲劇はまだ序の口。父は母の病気の薬を手に入れるために中国
へ脱北する。しかし捕まっては逃げてしている間に北で待ってい
る母は死んでしまう。そして子供のジュニは孤児に・・・
果たして親子は再会できるのだろうかという事実を踏まえた筋書
になっている。
 冒頭父と子がサッカーをするときに天気雨が降り、ジュニ
がこの雨が好きだということがラストの重要なカットにかかって
いる。非常に映画的な仕組みを考えたものだ。
この映画が成功しているのは、政治的な題材でありながら告発調
ではなく、ただただ離ればなれになった家族が会いたいというだ
けに徹して描いているというところがポイントだったように思う。
 私としてはいい映画でみんなに観て貰いたい。それで敢て欲を
言うと、父親役のチャ・インピョが格好良過ぎて、もっと北の人
間として父親としての幅が表せたらラストの感動はさらに深まっ
ただろうと思った。子役のシン・ミョンチョルのひた向きで純粋
な瞳にココロ奪われた身としてはそこだけが心残りだった。
まあ、拉致問題が長引く中是非観てもらいたい一品である。
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by stgenya | 2010-05-07 20:32 | 映画・ドラマ
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