極楽大一座 アチャラカ誕生

d0068430_1829644.jpg

「極楽大一座アチャラカ誕生」脚本白坂依志夫、監督小田基義
昭和31年東宝作品。出演エノケン、ロッパ、金語楼、三木のり平、
トニー谷他。
 先週から神保町シアターではじまった「喜劇映画パラダイス」
特集の一つ。「喜劇人オールスター大行進」の「乱気流野郎」
(松竹にクレージーが出た珍しい番匠義彰監督作品)と一緒に見た。
 「アチャラカ誕生」の元は浅草の昭和7年の舞台が元でその映画版。
d0068430_17311191.jpg

しかもこの作品があの名脚本家白坂依志夫のデビュー作。
だからファーストシーンで戦争中の慰問劇団公演が出て来て、
戦後ある村でその時の上官と部下劇団員が再会するという構成に
なっていてそれに白坂氏を思わせる脚本家志望の青年と元上官で
村のご意見番の古川ロッパの娘との親に反対されながらの恋愛を
絡めて作られている。どさ回りの芝居ではなくリアルな芝居を要求
される羽目になる劇団騒動の面白さがポイント。
 しかも女形しかいなかった劇団に急遽ヒロインに抜擢される売店
の娘役が神田正輝の母の旭輝子だった。原作が日劇の東京喜劇まつ
りとなっているから急拵えでつくられた53分の中編。
金語楼が座長で看板スターのエノケンにのり平、トニー谷のふた
りの女形がからんでのドタバタ劇中劇。さすがにこの名喜劇人の
演技が今でも笑わしてくれる。特に金語楼とエノケンの掛け合い
は、安定感があり、エノケンがボケても金語楼が引いて受ける技
は脂ののったベテランの味。
 話の芯が古い浪速節のどさ回りの芝居では客が来ないから、
アメリカの南北戦争を題材に新派大悲劇をやろうとするもの。
 だから秀吉や義経をやっていた劇団員がいきなりトムとか
メアリーとかになって翻案芝居もどきをする。
つまり「アチャラカ」の誕生というわけ。
これは又戦後民主主義のGHQの検閲の名残りのような路線で
もある。
 しかしこんな昔の中編喜劇に劇場は満員だった。
そしてその観客たちは、もちろん中高年ばかりだがどれも満足
して帰って行った。むしろこんな平成の沈鬱な時代だからこそ
カラッと明るい喜劇を観に来ているのだろうか。
いま吉本を中心にしたお笑いの氾濫の中で昭和の実力派の喜劇
は本当に有効なカウンターになる確信がした。
 面白くないのに事務所の力で露出しているニセモノと舞台で
培ったホンモノの喜劇ではその映画から受ける生命力が全然違う。
 是非のこの喜劇特集は6月11日までやっているので足を運ば
れることをおすすめする。
d0068430_18135491.jpg

[PR]
by stgenya | 2010-05-22 18:13 | 映画・ドラマ
<< 春との旅 クロッシング >>