13/ザメッティ

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13 TZAMETI。2005年ヴェネチア国際映画祭最優秀新人監督賞他。
 グルジア生まれの30才のゲラ・バブルアニ監督・脚本・製作。
シネマスコープでモノクロ。1時間33分。
映画は、文学や音楽と似ているようで違う。
それは、体験させられること。耳と目で擬似体感すること。
 グルジアから自分で脚本を書き、資金集めをしてやっと
フランスで制作費の目処がたち完成した作品。
ザメッティ=13は、不吉な数字。人生最大の不吉をどうしても
描きたかった。この暮しから抜け出すんだったら何でもいい。
  海辺の古い家の屋根修理をグルジアから移民してきた青年
セバスチャンは請負い、コツコツと働く。家では失業した兄や家族
がいる。カメラは、無駄な動きはせず淡々とその毎日を映し出す。
 そんなある日。修理している家の主人が薬で死ぬ。
痩せたその主人は、いつも何かの手紙がくるのを待っていた。
その女房と尋ねて来た知人は、そのことで何か大金が入ることを
期待していた節がある。又この家を絶えず見張っている車がいる。
主人が亡くなった騒動で風がその手紙をセバスチャンの元へ
運ぶ。パリ行きのチケットとホテルの宿泊券が中に入っている。
その謎のチケットの入った手紙をもって列車に乗るセバスチャン。
そしてついたところは、森の中の怪しい屋敷。手に持った13の札
で服を13の背番号の入ったものに着替えさせられる。
まるで囚人。そこで始まったのは、ピストルによるロシアン・ルーレット。
殺人ゲーム。果たして一番幼かったセバスチャンが生き残ったが・・・
 粒子の粗いモノクロの画面とどいつも癖のある面構え。
最低限のカメラワーク。寄り目の無口で情けない青年。いつの間に
か巻き込まれる恐ろしい世界。まるで闘鶏の中継を見ている感覚。
そしてラストの列車の窓辺にもたれかかるセバスチャンの青春の
終わり。ザラザラとして乾いたタッチの映画だった。
なんでこんな不運を背負い込まなくちゃなんないんだろう。
逃げればよかったのに。他所に行って何でもいいから働けば・・・
なんて考えてもダメ。13なんだから。
崩壊したソ連邦から独立したグルジア。その経済もズタズタ。
移民でやってきたフランスでありつける仕事もわずか。
俺たちは世界の13(ザメッティ)なんだ。
 この映画が成立しているのは、その監督の思いを受け継ぐ
セバスチャン役のギオルギ・バブルアニとこんなすごい顔がある
のかというくらい個性的な俳優たち(もしかして本物のギャング?)
のリアルな演技があるからである。
ハリウッド映画みたいなドンでん返しもハッピーエンドもない。
でもブラピが映画化権を買って、デカプリオでリメークが決まって
いるらしい。
 この映画を観ていて、ポランスキーとかブレッソンとかの色合い
を強く感じた。特に淡々と運命を受け入れて行く主人公の様は
ブレッソン的だ。この単純で救いのない映画が、なぜココロに
宗教的な肌触りで引っかかってしまうのか。
それは、人間の営むこの世界が金で成り立っていることを
目の当たりにされるからではないか。もっと云うなら、食うため
や遊ぶために生きている生物・人間。その世界。
若い監督の初めての作品にしては、するどい世界観だ。
この設定ぐらいで日本だと三池や坂本がやりそうだが、彼らが
一流になれないのは、「13/ザメッティ」のあの清らかな無表情
で窓に佇む主人公のラストを描けないからだ。
確かにそういう意味でも人の悲しみと逃れられない世界を
ひたすらに暴いた一編だった。
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by stgenya | 2007-07-05 05:55 | 映画・ドラマ
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