ダイ・ハード4.0

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前作から12年。もっともツイてない奴が帰ってきた。
「ダイ・ハード4.0」。脚本マーク・ポンパック、監督レン・ワイズマン
 まずたっぷり楽しめる娯楽作のいい成功例だ。
最近のハリウッド映画のマンネリ化の延長線上に安易に作られる
シリーズものと違ってしっかり作っていて一級品になっている。
 ブルース・ウィルスがじっくりこの脚本を待ってつくったと本人が
云っているようによく書かれたセリフと構成である。
サイバーテロリストVSアメリカ国家。
電力、交通、防衛、金融システム・・・どれもコンピューター化され
ている。ここに有能なハッカーが入り込めば、大混乱になる。 
若いオタクのハッカーと娘の反抗期にぶつかっている冴えない
刑事がサイバーテロを防ぐため、次から次にやってくる危機を
乗り越えながら進んで行く。
道中この若造オタクとヘトヘトになりながらの超アナログ刑事の
ジョン・マクレーン(ブルース・ウイルス)とのやりとりが面白い。
CCRの楽曲をカーステレオでかけるとオタクがダサイと反発し
、いいんだとマクレーンがやり返す。因みにエンディングにもCCR
がかかる。70年代に青春を送った世代への挽歌になっていた。
 この辺の設定とセリフの粋がずっと最後まで貫かれていて
なんだか想い出すものがあった。
ブルース・ウィルスの今までない男臭さとハート゜ボイルド。
そうか、黒澤の「椿三十郎」や「野良犬」に似てるなと思った。
ブルース・ウィルスが三船敏郎のように見えてきた。
そういえば「ラストマン・スタンディング」で「用心棒」のリメイク
を彼はやっていた。その心はクールだということ。
 ストーリーはやがて金融機関や行政のバックアップをとっていた
ハードディスクの施設の乗っ取りに向うのを阻止すべくヘリーで
向い、さらに人質になった娘とオタクとを取り返すべくテロの
首謀者の移動コンテナへと決死の戦いを挑む。
ひとつだけ難を云えば、ラストの捕まったマクレーンの反撃の一撃
がもうひとつアイデアがなかったかなと思った。
つまりヒーローが捕まって半殺しの目に遭い又反撃して最後に
敵を撃退するセオリーからすると最後のジョンの肩に押しつけ
られた銃の代わりに何かいいアイディアがもっとほしかった。
たとえば「椿三十郎」のナイフ投げの練習がラストで仲代のピストル
に勝つように。
 しかしそれでもビルの屋上から落ち、エレベーターの立穴で宙刷
りになり、戦闘機に車でジャンプして突撃してどんな爆発も
何のその。不死身のヒーロー。
どうしてこんなに最悪の事態にばかり遭遇してしまうのか、世界
最悪のツイてない男。でもある意味これだけ普通ならとっくに
死んでいるような爆発に銃撃に生き残ってしまう男って世界一
ツイている男だと云ってもいい。
「パルプ・フィクション」や「シックス・センス」を通過したかつての
肉体派俳優は、このアクションシリーズ映画の新作で見事に成熟
した演技でまったく新しい映画を作った。
練った本を捜していたという彼にとっては俳優としての粘りと運が
あった。どうして12年かかったかといえばクリント・イーストウッド
みたいに自分で監督もできなかったからではないだろうか。
映画の才能には、カントクとハイユウの二つがあり、チャプリンの
ように両方もてる人は少ない。
特に俳優だけの場合自分がどんなにいい歳といい状態に準備
できてても、いいスタッフといい本に参加できないとその才能
はこの世に出て来ない。待つしかないのだ。
勝新太郎のようにもうひとつ後年に代表作ができたかもしれない
のに巡り合わせの妙で不幸にも死んでしまう人もいる。
ブルース・ウィルス52才。財とコネクションは持った。
これから肉体派俳優あがりの名優にまだまだ名作への道の
チャンスは充分にある。そんな楽しみを期待させる娯楽作品だった。
 しかしそれにしても国家の中枢にハッキングする難しさでミッション
・インポシブルもそうだったけど、一本のスパイ映画ができるのに、
日本の自衛隊の最高機密のミサイル防衛のあっけない漏洩事件。
ハニートラップか、エロ写真見たさで勝手にネット上に露呈してしまう
お粗末。感知されないため宙刷りでコンピューターにアクセスする
トム・クルーズや戦闘機に車で突撃するブルース・ウィルスなど
日本に来たら馬鹿らしくて活躍どころか、悲しくなってしまうだろう。
日本の官僚のトップの人たちは、この映画を観るべきだ。
しっかりとね。
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by stgenya | 2007-07-29 05:32 | 映画・ドラマ
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