チーム・バチスタの栄光

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「チーム・バチスタの栄光」脚本斉藤ひろし、蒔田光治。
監督は、ぴあのPFF出身の中村義洋。制作TBSと東宝。
 原作は、第四回「このミステリーがすごい!」大賞の海堂尊。
映画が終わって渋谷シネタワーから出てきた中年夫婦がふうっと
ため息ついて「原作の方、読んでみたいわ」って言った。
せっかくプルミエ時代からチームでやってきた制作プロがつくって
いるのにもかかわらず映画がミステリーの醍醐味が出せなったのは
残念。話は、おもしろかったのになぜ方向性のない映画になったか。
まずシナリオがミステリーの仕様になっていないのが大きい。
トレンディードラマ風に始まって人物紹介も新鮮味がない。
まず心臓手術で死亡事故が連続して起きるのを検証する竹内結子の
心療医が一人一人調べていく過程と途中から厚生労働省の技官の
阿部寛が出てきてもう一度一人一人調べ直すシノプシスで初めと
全然違う人物像が浮かび上がって、犯人が二転三転していく
面白さが書けていない。クライマックスでバチスタ医のある
秘密に辿りついて、解決かと思わしていて実は、というところ
のラストに阿部がどうして辿りついたかを見せた方がよかった。
ここがシナリオ作家の腕の見せ所だったハズだ。
そしてもうひとつ手術を受ける患者の方の視点がロック願望
の山口ぐらいしかないが手術失敗とどう絡めていくかもあった
ハズである。
 そして決定的に足を引っ張ったのは、何より演出だった。
崔組の助監督をやっていた人らしいが、カッティングにテンポ
がなさ過ぎる。医療潜入ルポならこれでもいいかもしれないが
エンターテイメントの映画である。
なぜ名医が完璧なハズなのに死亡事故が連続して起したか、
もし故意だったら、殺人だ。この中で誰が犯人で何のために?
とこれを旗印にすべて構図も演技も進められるのが普通だ。
それが出来ていない。何回かケース手術がくり返されるが
毎回同じように進む。映画は、省略の芸術でもある。
このケースごとに疑いが変わり、サスペンスの迷路を構築
できなかったのだろうか。
ほとんどが手術室の狭い場面であるから、撮影も見たこと
ないようなアングルとか凝ってほしかった。
 演技者については、竹内は、コメディーがてきない。
笑いをとるとこの顔が硬すぎる。もっと突き抜けるか弾ける
かしないと笑いは取れない。せっかくいい顔してるのだから
もっと寄席に通ってほしい。
吉川晃司は、意外によかったが芸達者な人たちも演出の
基本線にベクトルされてないから感情の盛り上がりに欠けた。
ただすばらしかったのは、阿部寛だ。
 今何か自分の中で会得したものがあるのか、ずっといい。
だから彼の登場が少し遅すぎる。もっと頭をスリムにして
彼の活躍を柱にすべきだった。優秀な編集マンなら監督
が何言おうがそうしただろう。
どうかもう一度阿部の主役であっというようなアイディアの
ある企画でシャープな映画をつくってほしい。
なかなかカタチと勢いで絵になる男優は、少ない。
田宮二郎のようにいくつもシリーズものを持てる逸材だ。
制作チームは、わかってると思う。このくらいのこと。
映画界のチーム・バチスタになるためにもどこに落とし穴
があったのか、検証してほしい。
この原作でやろうした企画は、わるくないのだから。
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by stgenya | 2008-02-10 12:26 | 映画・ドラマ
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