「クローバーフィールド/HAKAISHA」監督マット・リーブス 脚本ドリュー・ゴダード。制作J・J・エイブラムス。 戦略的な宣伝を何の映画かタイトルも見せずに数ヶ月も前から 特にネット上で出して、やっと今年になって封切った映画。 全編手持ちのビデオカメラで素人が撮った映像でドキュメント 風に映し出される。ニューヨーク・マンハッタンに何が起きた のか? あの自由の女神の首をもぎ取った巨大な怪物は?・・・ これは、まさに体感映画である。単純に面白かった。 米政府がセントラルパークで入手した家庭用ビデオテープが この物語のはじまりですべてである。 そこに映し出されている楽しそうな若い男女のベッドでの姿や デートの様子から次がその男ロブの日本へ赴任する壮行会の パーティーになり、ロブの弟ジェイソンからハッドがビデオ カメラを渡され、そのカメラで会の途中でものすごい音がして 何かが飛んできてビルを次々に破壊してみんなが逃げる様を記録 する。そのカメラ映像が映画の最後まで観客に提示され貫かれる。 表道路に飛んできたものは、自由の女神の首だった。 そしてビルを壊しているものが巨大なゴジラのような怪獣で あり、またそいつから滴り落ちてくる小さなクモのような生き 物も無数に上陸して人間を襲う。 とにかくこのマンハッタン島から逃げようとしてジェイソンが 橋の崩壊で死ぬ、兄のロブはアパートに負傷して残された恋人 のべスを助けに逆戻りしていく。それに弟の恋人リリーと偶々 会で一緒になったマリーナとカメラを回しているハッドの四人 で地下鉄のトンネルや崩壊ビルをクモの怪物に襲われながら 行き、マリーナが怪物による傷から感染症で死ぬ。 そしてベスを救い出してヘリで脱出というときに・・・・ ストーリーは単純である。家庭用カメラによる映像という ことから構成としてうまいアイデアが重ね撮りという設定だ。 初めの楽しい4月のデートと逃げている5月の映像の間々に 挟まれるロブとベスとの仲が進展していく映像がちょうど 編集でカットバックしている構成に見せている。 つまり前に撮った映像が録画のストップや途中再生で少し 残ってしまう現象を利用している。 「ブレアウイッチ・プロジェクト」と違うのは、実は映像が 家庭用ビデオではなく、ちゃんとパナビジョンの手持ちカメラ で素人風に撮っているということである。画面がきれいなのだ。 まるで9.11の崩壊現場に自分がいるような臨場感があって あっという間に終わる。あの怪獣は何なのかもわからない ままぷっつりと終わる。これでいいのか。と思われるが これも制作者側の作戦らしい。ロブが日本の会社タグアルト社 へ行くことになっていたが、その会社の海底油田の掘削現場 での破壊事件がこの怪獣と関係して、続編へつながるらしい。 これを見て新しいパニック映画のパターンができた。 体感パニック映画とでもいえばいいのか。 ただ、 得たいの知れない怪物に襲われて逃げるだけの米版ゴジラ と違うのは、突然空襲される市民の恐怖が今のアメリカ人の 沈滞感に添っているということである。 つまりある日突然が9.11のニューヨークとイラクの市民と 同じ恐怖であるということだ。戦争やテロに直接関係ない 市民にとっては、こんな試練を味あわされる。 63年前の東京大空襲も同じだったのではないか。 もう核実験で怪獣ができたとか、宇宙生物の成長とかどう でもいい、それよりリアルな恐怖を描きたかった。 ただ劇場で大学生のグループが見ていて終わったあとに 「俺だったら、恋人のベスを助けにいくのにあ、ごめん ってバックれる。」と感想を漏らしていた。 シナリオ的にロブがベスをあそこまでいく二人の関係の深度 と友だちのリリーやハッド、ましてや無関係だったマリーナ まで付き合うにはもう一つ手を考えた方がよかった。 金とか何かの秘密があのアパートにあるとか・・・・ 映像がリアルなので観ている間は、そのへんは抜けがち だが確かに四人の設定はもっと練っていたらもっと面白か っただろう。 まあ、それにして制作のエイブラムスの策略の勝利だろう。 二回目が終わって新宿トーア劇場を出るとコマ広場に珍しい 長い行列ができていた。 映画は、見せ物から始まった。 「クロバーフィールトHAKAISHA」はまさしく見せ物だ。 最後にエンドロールの音楽は、東宝「ゴジラ」へのオマー ジュだろうか。あの太鼓の音ー。
by stgenya
| 2008-04-06 06:13
| 映画・ドラマ
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