インディー・ジョーズ/クリスタル・スカルの王国

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「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
シリーズ第4作目。主演ハリソン・フォード。
脚本ジョージ・ルーカス、デゥッド・コープ。
監督S・スピルバーグ。いよいよ19年ぶりに制作再開された
人気シリーズ。沈滞したアメリカ映画界に再び黄金の宝をも
たらすか。ファンは、待ちに待った新作の登場である。
渋谷東宝シネマの先行ロードショーでは30代、40代のパパが
子どもを連れてやってきているのが目立った。
娯楽映画巨匠二人ルーカスとスピルバーグのタックルだから
大きな外れはなかった。
このシリーズの醍醐味であるハラハラドキドキのアクションは、
ペルーに来てからのジャグルから大滝、そしてマヤの巨大ピラ
ミッドと追いつ追われつの連続が圧巻。
さすが映画小僧の手慣れた腕前だった。
時代は、1957年。米ソ冷戦真っ只中の頃。クリスタル・スカ
ルに秘められた超能力に目をつけたソ連の女司令官がインデ
ィーを探し出して、ペルーの古代遺跡までスカルの秘密を求
めて延々と追ってくる。そこにカレン・アレン扮するマリオン
とその息子シャイア・ラブーフ扮するマットとが同行する。
そしてこのマットが最後でインデイー・ジョーンズの本当の
息子だったということが明かされマリオンとインディーは
目出度く結婚式を挙げるところで終わる。
粋なのが、風に飛ばされてインディーの冒険帽子が式の最中の
息子マットの足もとに転がってくるがラストその帽子をハネム
ーンに出かけるインディーがひょいと奪って被って行ってしま
うのだ。まだまだ息子には渡さないよ。このシリーズと思わせ
る遊び心がかいま見られた。
 ファーストカットからラストカットまでスピルバーグの映画
小僧魂が健在で流麗である。映画を絵でみせる物語つづりと
定義するとむしろ無声映画のカットつなぎに通じる職人技が
随所にみられる。
まず頭、ルーカス・フィルム印、パナマウントマークと来て
その山のマークが荒野の砂山とダブり、その山をモグラが
くずして現れ、その崩れた砂山をジープが踏みつけて米軍に
扮したソ連軍と50年代のロックンロール族の車とのカーチェ
イスになり、核施設でのインディーの脱出劇で第一幕が上が
りクリスタル・スカルを求めてペルーへ飛行機は飛ぶ。
 スピルバーグのエンターテイメント映画づくりの特長は、
重ねるという手法である。なぜ彼の映画は常にスムーズで
停滞がなく、次々に自然に画面が進んでいくか。
それは、この自然な重ねのカットつなぎがあるからである。
ジャックナイフのアップからマットが玩んでいるマットの
フルショットにカメラがひいて、ついでそのままマットの
背後でスカルを持っているジョン・ハートとインディーと
が話しているツーショットへピン送りするまでをワンカット。
そして次のシーンへ。常にワンシーンをできるだけワンカッ
トのように意識させて見ている人の集中をそがない技が練ら
れている。たとえばAがBの手にした玉を見る。切り返しで
玉を持ったBのアップになり、パンダウンして、玉から足元
にカメラが降りていくと、足元の地面が一気に崩れる。
そして落ちていくAとBのロングショットに切り替わる。
ここでは玉が共通する項になって重なって対峙するAとB
のシーンとピラミットの地面が崩れて落ちていくシーンと
をつないでいる。このようにたえずカメラがアクションを
している人物の意識の流れに添って流れてシーンとシーン
を重要なモノや人でダブらせてつないでいく。
観ている者は、息つぐ暇もなくアクションの海へ投げ出さ
れていく。こういう大昔ならフェアバンクスなどの冒険活
劇にあったシリーズものを現代で持ち得ている奇跡的な幸
運がこのアメリカの二人の映画監督にはある。
これは、多少は、スカルをめぐる話の前半と中盤がもたつ
いたり、CIAの二重スパイやジョン・ハートの人物関係のも
っと話に交錯する劇的なシナリオの設定が不完全でも危機
をくぐり抜けるアクションのアイディアと発想がスマート
で面白ければ文句はない。
 65才のハリソン・フォードがよく若い者に負けじと頑張
っているのがもっと無理があるかと思っていたがそんな心配
全くなかった。そしてスピルバーグはマヤ文明のクリスタル
スカルの正体を「E.T」と「未知との遭遇」に重ねていたの
がおかしかった。
 しかしこのシリーズの次ぎがあるとすると息子のマットの
時代になる伏線をしっかりと敷いていたので老いてスピルバ
ーグが市川崑の「犬神家の一族」のように90才過ぎてもや
るのか、すばらしい後継者に譲るのか、わからないがこの
映画の話自体は、to be continued になっている。
まあ、現在の日本含めて世界でS・スピルバーグに敵う娯楽
映画の監督は誰もいない。
映画の醍醐味を本当にわかってつくることのできる監督なん
てそんなにいるもんではない。
ともあれ、何も考えず映画そのものを楽しむには、もってこ
いの映画であることには間違いない冒険活劇である。
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by stgenya | 2008-06-14 20:06 | 映画・ドラマ
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