2010年 04月 16日 ( 1 )

シャッター・アイランド

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「シャッター・アイランド」脚本レータ・カログリディス
原作デニス・ルヘイン,監督マーティン・スコセッシ、
主演レオナルド・ディカプリオ、M・ラファロ他。
公開初日の3.9億円の初動。順調な出だし。
 ディカプリオとスコセッシの四度のタック。しかも今回は
ミステリー。
まず画調を黒にこだわって、モノクロ映画を意識した調子に
なっている。また音楽が太鼓を重要な使い方して、黒澤映画
か小林正樹の「切腹」のような正調な画面をづくりにしている。
 舞台はボストン湾の孤島。精神刑務所。ここに捜査官が二人
でやって来るところからはじまる。海は荒れて、送り届けた船
の船長は嵐が来るからとすぐに引き返す。
 ここですでに密閉ミステリーの幕開け。そして一緒に上陸す
る相棒がタバコの火移しをディカプリオにする。この場面と迎
えに来た刑務官長の目線と顔をよく覚えておこうと目を見張った。
 なんせラストのどんでん返しがあるというのでそれぞれのカ
ットのつなぎを注意してみると、監督はキューブリック的なト
リック・カットをつないでいた。そして重要になるのが失踪し
た女患者の残したメモ「67番目の囚人」。66人しかいない。
これが最後のオチ。
そしてもうひとつ重要な要素が彼が見る「夢」だ。
 ディカプリオは、妻と子どもを放火で殺された過去があり、
その犯人がこの刑務所にいる。そいつを探して復讐しなければ
ならない。
その過去が夢で出てくる。
またもうひとつの夢が第二次大戦でナチに虐殺されたユダヤ人
たちの場面である。これは大過去だ。ディカプリオ扮する捜査
官の夢? これが違う。ここになぞ解きのヒントがあった。
つまりこのシナリオは、復讐の野心をもって入った捜査官の過
去描写から、いつの間にか別の人物の過去描写にすり替わって
いる。
ここにライターは神経を使い、監督のスコセッシは、この過去
描写を現実の画面に非現実として塗りこませることでなぞを散
りばめようとした。
 さて成功しているか、見た印象ではなかなか苦労しているな
あ、という感想をもった。「シャイニング」や「シックス・セ
ンス」のような鮮やかさはない。むしろ追い詰められた人間の
恐怖を映像的に描写しているのが面白かった。
 さすがスコセッシ教授。映画の引き出しはいくらでもある。
タルコフスキーの「ストーカー」的な水と建物のカットの美し
ささえ取り込んでいる。 そしていよいよなぞ解きのラスト近
く所長とディカプリオのカットバックの会話は正対目線である。
 演技としては、ディカプリオはともかく、ベン・キングズレ
ーとマックス・フォン・シドーの渋い演技には唸ってしまう。
やっぱり世界は役者の層が厚い。
 ただこの映画でひっかかったことがミシェル・ウィリアムズ
の妻が自分の子どもを三人殺すというストーリーポイントなエ
ピソードが出てくるが今の実母のこども虐待死を連日見せられ
ている日本人からすると作者や映画製作者が目論んでいたよう
なショックはなかった。
それはまた日本人としては悲しいことなんだけど。
 正直にいえば大好きなスコセッシの中であまり好みではない
「ケープ・フィア」の類型にこの映画は入る。もちろん「ケー
プ・フィア」より断然いい映画になっていると付け加えておか
ないといけないけど。
まあ、この映画は何回か見返して見ると良さがわかってくるの
かもしれない。
 
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by stgenya | 2010-04-16 17:15 | 映画・ドラマ