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モーターサイクル・ダイアリー

青春映画のすべてがここにある。
そしてこれが実話であり、あの「チェ・ゲバラ」の青年期のはじまりの
物語と知るとなお感慨深いものがある。
話は、そこそこいい家庭の医学生がバイクを持った友人と
南米大陸横断の貧乏旅行に出るところから始まる。
青春の無鉄砲。失敗と喧噪の連続。このふたりの青年には、苦悩や思想
などない。ただ闇雲にひとりは、恋人の15ドルを胸に冒険旅行が終わり
再び恋人の元へ帰ることだけを考えている無邪気な男であり、もうひとり
は、ただ愛車のバイクを乗り回し女にもてたいだけの男である。
それは、まるで子犬がじゃれるように生まれて初めての世界に飛び込む
切なくて明るいロードムービーだ。
そのときの空は、どこまでも青く、広がる地平は、どこまでも広い。
ああ。この空の青さをぼくらは、知っている。誰でも思春期から青年期へ
かけて旅に出なくても一度は感じる青さだ。この映画はよくその感じを
描いている。そしてこの映画が秀逸なのは中盤からバイクから徒歩になり
金がなくなり、直面する現実と遭遇する土地の人々の過酷な生活を目の
当たりにして主人公ゲバラが変わっていき最後は俳優の顔まで精悍に真摯
になっていくところである。このゲバラのフルショットでしばしば同ポジつなぎ
をしているカットがある。NGを間引きしたように普通は観られる失敗カットだが
これが瞬きのように見えて気にならない。主人公の心の変化をとどめる瞬き。
それは又青春という美しくて脆い、人生の一瞬の瞬きにも見える。
アルベルト役の俳優もすばらしかった。よくふたりがバランスがとれている。
ラストタイトルで実際のアルベルトの老人の皺の深い顔やゲバラの実際の
ハンセン病棟までの冒険旅行の古い写真を見せられると胸がつまる。




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by stgenya | 2005-07-12 01:27 | 映画・ドラマ

宇宙戦争

スピルバーグの新作。映画の日の渋谷で満員にならず八割弱の客の入り様。
まず可もなく不可もなくと言っておく。
トムクルーズと組んだSFの第二弾。技術的にも作品てきにも
スピルバーグの新しさはない。
「ジュラシックパーク」の焼き直し的構造をもっている。
特にエイリアンに後半
地下室の中の狭い空間で追いかけられる場面は、JPにそっくり。
職人芸が見事に発揮され、これだけストーリーが単純であるにも
かかわらず最後まで見せる力量は大した物。
「未知との遭遇」「プライベートライアン」「ジュラシックパーク」
のいいとこを網羅した技あり。
トム・クルーズも市井の人として手堅い演技だ。
 ただここで新しい発見は、スピルバーグが敵との「戦争」にどういう
スタンスをとっているかがはっきりわかることだ。
できるだけ戦うなという主人公を最後まで貫き通す。これは
9.11のテロ戦争に対するひとつの気分と姿勢だと考えられる。
そしてそのためには
普通の人(しかしあくまで戦おうとする人)を殺してしまう。
この白黒の付け方は、戦う
アメリカの範疇でのyes,noの域をでていないのではないか。
このスピルバーグの変化は、ラスト近くの円盤から出てくる
エイリアンの死んだ手に象徴的だ。
「E.T」のラストの手とは対照的になっている。
ここには、もはや無邪気で陽気でどこまでも楽天的なアメリカはないのだ。




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by stgenya | 2005-07-07 23:30 | 映画・ドラマ