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大停電の夜に

源監督の企画映画。
 映画は、初見がすべてである。
理解できるできないでなく、最初の見終ったときの
印象が大切だ。「キングコング」がそうだった。
 みんな各誌映画評がよかった。しかし見たときは、
今更ジェラシックパークじゃあるまいにと思ったものだ。
どうも興行的には史上最大の制作費で大赤字を出した
そうだ。広告に金をかけるとは評論家も含まれているのだ。
 さて「去年公開されたこの映画。キャストがよく、設定も
クリスマスイブの夜に東京が停電してロードレース風に
それぞれ関わりない男女がいくつかクロスしてラストを
迎えるというエンターテイメントの大道で撮影も凝っていて
なかなかいい。
 ところが最後にくるまえに気持ちが萎えてしまった。
宇津井健夫婦も寺島しのぶ・吉川光司も豊悦・原田知世も
田口トモロヲもみんな不倫という設定なのだ。
これは、おかしかないか。二人三人ならともかく人物を
ストーリーとしてつくるのに余りにも安易すぎる。
シナリオの段階でもっと練れなかったのだろうか。
コンペじゃこのプロットだと1次で落とされるだろうし
制作会社へ企画として出したらこんなものと通らない。
 ジャズ奏者の豊悦は、本当に原田知世を愛していたの
だろうか。単なる形としてしか描かれていない。
本人も演じにくかったのではないか。
 昔の薬師寺の「幕末純情伝」という角川映画があったが
ストーリーはやはり緩急をつけて静と動と波がなければ
いいエンターテイメントにならない。最初からチャンバラ
ばっかりで疲れて見てられなかった。
 この映画も淡島千景の子としての田口トモロヲの設定
は古すぎないだろうか、むしろトヨエツ・ラインを軸に整理
した方がよかったように思う。
 それと停電ということでもっといろんな事件が想像できる
のではないか、エレベーター停止と電車以外に・・・・
ここがもっと面白くできたところだと思い、たいへん残念だ。
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by stgenya | 2006-02-08 15:31 | 映画・ドラマ

博士の愛した数式

本屋さんが一番愛した小説「博士の愛した数式」の映画化。
脚本監督が黒澤組の小泉尭史。62歳。
「雨上がる」「阿弥陀堂だより」につづいて3作目。
 原作にないルートの成長して数学教師になった設定から
物語を語り、数学の友愛数とか完全数とかの説明も
できるというシナリオのアイデアを監督は考え付いた。
 吉岡君のこのルート教師は、なかなかよかった。
寺尾聡の博士の役もなるほどなあと思った。
実は、これが出版されたとき映画化すると誰がやれるか
と思ったものだった。メモをいっぱい貼り付けた初老の
記憶障害者を下手にやると浮浪者にしか見えない。
 しかし学者と義姉との不遇な過去をもった男としての
悲しみも過度にならず表現していた。
 深津はどうだろう。悪くないがもっと女としての表現の
幅があってもよかったのではないか。
母子家庭で家政婦で働いている三十女の見つけた
友愛数はルートの野球熱から博士へ広がって、
意識下か擬似的にしても人を愛し、尊敬することの
喜びを孤独な女として目覚めていく過程がもっと深く
掘り下げていってほしかった。
 それは監督の力量でもあり、この作品の醍醐味で
もあったはずではないのだろうか。
ここが日本のテレビ文化で育った女優の限界かもしれ
ない。きれいにさわやかにだけでは感動はよばない。
またこれを黒澤さんだったらどう脚本を書いただろうか。
 もっとはじめの博士の面倒をみる家政婦が何人も
辞めるところからはじめて、数について杏子が興味
をもつところから野球で熱を出すシークェンスまで
の杏子の変化を面白く構成できたんじゃないだろうか。
 「生きる」の役所の陳情の件りや「赤ひげ」の加山
と入れ替わりで辞める若い医師が赤ひげのことを
悪くいう件りなど・・・
 こうした起伏のある本にした方がもっと感動できた
ように思う。何より浅丘と寺尾博士の関係がセリフで
なくほんのり判るようになる工夫もほしかった。
まじめに丁寧に撮っているだけに悔やまれる。
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by stgenya | 2006-02-01 15:25 | 映画・ドラマ