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HACHIー約束の犬

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「HACHIー約束の犬」製作インフェルノ・プロダクション
脚本ステファン・リンゼイ監督ラッセル・ハルストレム。
主演リチャード・ギア、ジョーン・アレン、ケイリー・H・田川
'87年(S62年)の神山征二郎監督の「ハチ公物語」のリメーク。
さすが日本贔屓のリチャード・ギア。「Shall we dance?」に
つづいて比較的正確にリメークしている。
そして秋田犬の子犬から成犬、老犬と三つをきちんと使い分けて
ハチの表情といい、動物をうまく撮影している。
横浜のロードショー館で60人ぐらいしかお客は入ってなかった
が、終わると特に女の人は泣いていた。
 ファーストシーンから日本の秋田から子犬が航空便で運ばれ
て来るとこから始まり、エンディングはハチ公の実際の写真と
渋谷駅の銅像とが出てきて丁寧に実話だと注釈をつけているの
で日本人には、殊の外受け入れやすい。
 実は22年前の神山さんの映画は観ていないのだが、この忠犬
ハチ公の物語は、後半の犬が駅で帰らぬ主人を10年も待ち続
けているというところにポイントがある。家族や友人でも絆
が希薄になりがちな世の中犬は、純粋に信頼や愛を忘れないと
いうのがこの話のテーマで感動的なところだ。
後半のこの部分へは、老犬の演技で物語の力を持ち得て成り立
っていたが、ひとつ腑に落ちないところがあった。
 それは、教授の妻の描き方だ。前半も捨て犬だったハチを
飼うのを嫌がっていたのに受け入れ方がルーズでハチと夫との
関係の中でシナリオがうまくこの妻の部分が書けていない。
だから後半引っ越して娘夫婦のところへハチが引き取られて
ベッドリッチ駅へ行ってしまうハチを娘が逃がしてやって
野良犬化して駅で待ち続けて、ハチが話題なってから会いに
来る。妻は、感動してずっと待っていたのというが貨物車の
下で野宿しているハチを観客は見ているから、そういうんだ
ったら飼ってやれよと突っ込みたくなる。
 つまり妻が夫の死後ハチを飼えなくなるというカセが弱い
のだ。妻の設定が曖昧だったし、翻案するのに難しかったの
だろう。実際の上野教授の奥さんは、どうして自分の手で飼
わなかったのだろうと思い、調べてみると籍が入ってなくて
夫亡き後財産が貰えず、世田谷に他の二匹の犬と暮らして、
ハチは、二年ほど養子の娘夫婦や他のところへ転々と預けら
れて結局富ヶ谷の植木屋の小林菊三郎氏が飼っていて、渋谷
が近く駅に毎日行くようになったらしい。
この妻の複雑な境遇をアメリカへもってくるのは、面倒だっ
たのだろう。これを思い悩まされるのも前半教授と妻の親密
ぶりがハリウッド的に丁寧に描かれたので余計どうして?と
思ってしまうのかもしれない。
 シナリオ構成で物語の運びを司る大きな柱に人物設定があ
る。これがキチっとできないと大きな流れにならない。
黒澤の「七人の侍」では志村喬の勘兵衛の設定でノート一冊
分あったというのは有名だが、この特殊な妻の関係は忠実に
やろうとして難しかったのかな。
どうせなら独身か妻と死に別れてハチを拾うという手もあっ
たかもしれない。
 それから今回のものは、ハチの見た目というカットが随所
にモノクロであった。犬がどのように人間を見ていたか、
小屋のすき間から覗くカットもあった。
また時間経過にCGで同ポジで背景の木の葉が枯れて落ちて
また咲くという演出もあった。静かに淡々と撮影している
良さがあった。
時の移ろいと永遠たれと思うものの対比が犬と人間の心の
通じ合うというところで映像化していた。
まあ、まず犬好きの人、犬を飼ったことのある人は、涙が
どうしても出てくるだろう。
子供連れで行ってもらいたい作品だった。
 
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by stgenya | 2009-08-15 20:30 | 映画・ドラマ