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ル・アーブルの靴みがき

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「ル・アーブルの靴みがき」監督アキ・カウリスマキ、フィンランド仏独合作。
出演アンドレ・ウィルム、かティ・オウティネン、ジャン=ピエール・ダルッサン
 小津安二郎を敬愛するアキ・カウリマスキ監督最新作。
フランスの港町ル・アーブルを舞台に「長屋紳士録」をアフリカ移民の子に
置き換えたような人情喜劇。
 もちろんようなで、本人の意図はわからないが町のいろんな人々が
たまたま靴みがきのマルセルが出会った密航の子イングリッサを匿い
目的地のイギリスへ逃がそうとする。警察は当然それを突き止めて
捕まえようとする。そしてその結末は・・・・と楽しい映画になっている。
 スタティックで静的な画面とカット割りですすむアキ・カウリスマキ映画
はまるでシーンがNHKの語学講座のスキットみたいに思えてくる。
間違うと観ながら、マルセルと妻の会話を復唱しそうになる。
このスタイルに慣れると小津の会話テンポのように観ていて心地よくなる。
 とくに今回の話が寓話の色合いが強いので身をまかせて眺める手が
一番いい。途中資金稼ぎにおじさんロックコンサートを開いたり、余命
宣告された妻の病気に奇跡が起こったりすることに目くじら立てないこと。
身をまかせていれば、それらも当たり前のような気がしてくる。
アキ映画は、それでいいのだ。
 それと今回の映画でこだわって、いい小道具として使っているのがタバコ。
マルセルも妻もバーのマダムも雑貨店のママも刑事もみんなタバコに火を
つけ、吸いながら話をすすめている。
禁煙ブームのいま貴重な映画だ。とくに事件が展開してゆく時は、タバコに
火がついている。そして意図的かどうか、少年と匿うマルセルが
追いつめられるクライマックスで刑事はタバコに火を点けない。
さて哀れシガない靴みがき夫婦の運命やいかに・・・
と後にも先にもタバコの火はここだけ点かない。
偶然にしてはできすぎである。
「真夜中の虹」から観続けているアキ・カウリスマキ映画にはずれがない。
美人が出てこずとぼけて可笑しくて悲しくてたのしい。
渋谷のユーロスペースで八割方の客入りでみんな満足そうに劇場を
出ていった。いい監督だね。
絵画にナイーブ派というのがあるがアキさん映画はそれに該当するように思う。
日本だと野心のない森田芳光と言ったところか・・・
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by stgenya | 2012-05-23 16:09 | 映画・ドラマ