ターネーション

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iMovieで編集した個人映画が世界の劇場で公開されて話題になっているドキュメンタリー映画。かなり過酷な生い立ちが披露される。 しかしかつて日本映画学校の生徒がつくった同じような話のドキュメンタリーがあったがその方が感動した。子供の頃女装して母親を演じる貴重なシーンがあるのに全体をミュージッククリップ風につないでいるのが返って本質を見つめるのをそいでいる。ただ人の幼年期がいかにその人の人生や人格を形づくるのかということを思い知らされる。全てのドラマはここからの脱出の旅の中から生まれる。この作品で僕が思うのは、辛い現実を前にしてドラッグで高揚した自分に真実があるのか、醒めて泣き疲れた自分に真実があるのか、の構えが感動を決めるのではないだろうか。これがこの作品の単に個人の苦しみのトロに流れてしまうところではないだろか。
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# by stgenya | 2005-08-12 11:19 | 映画・ドラマ

モーターサイクル・ダイアリー

青春映画のすべてがここにある。
そしてこれが実話であり、あの「チェ・ゲバラ」の青年期のはじまりの
物語と知るとなお感慨深いものがある。
話は、そこそこいい家庭の医学生がバイクを持った友人と
南米大陸横断の貧乏旅行に出るところから始まる。
青春の無鉄砲。失敗と喧噪の連続。このふたりの青年には、苦悩や思想
などない。ただ闇雲にひとりは、恋人の15ドルを胸に冒険旅行が終わり
再び恋人の元へ帰ることだけを考えている無邪気な男であり、もうひとり
は、ただ愛車のバイクを乗り回し女にもてたいだけの男である。
それは、まるで子犬がじゃれるように生まれて初めての世界に飛び込む
切なくて明るいロードムービーだ。
そのときの空は、どこまでも青く、広がる地平は、どこまでも広い。
ああ。この空の青さをぼくらは、知っている。誰でも思春期から青年期へ
かけて旅に出なくても一度は感じる青さだ。この映画はよくその感じを
描いている。そしてこの映画が秀逸なのは中盤からバイクから徒歩になり
金がなくなり、直面する現実と遭遇する土地の人々の過酷な生活を目の
当たりにして主人公ゲバラが変わっていき最後は俳優の顔まで精悍に真摯
になっていくところである。このゲバラのフルショットでしばしば同ポジつなぎ
をしているカットがある。NGを間引きしたように普通は観られる失敗カットだが
これが瞬きのように見えて気にならない。主人公の心の変化をとどめる瞬き。
それは又青春という美しくて脆い、人生の一瞬の瞬きにも見える。
アルベルト役の俳優もすばらしかった。よくふたりがバランスがとれている。
ラストタイトルで実際のアルベルトの老人の皺の深い顔やゲバラの実際の
ハンセン病棟までの冒険旅行の古い写真を見せられると胸がつまる。




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# by stgenya | 2005-07-12 01:27 | 映画・ドラマ

宇宙戦争

スピルバーグの新作。映画の日の渋谷で満員にならず八割弱の客の入り様。
まず可もなく不可もなくと言っておく。
トムクルーズと組んだSFの第二弾。技術的にも作品てきにも
スピルバーグの新しさはない。
「ジュラシックパーク」の焼き直し的構造をもっている。
特にエイリアンに後半
地下室の中の狭い空間で追いかけられる場面は、JPにそっくり。
職人芸が見事に発揮され、これだけストーリーが単純であるにも
かかわらず最後まで見せる力量は大した物。
「未知との遭遇」「プライベートライアン」「ジュラシックパーク」
のいいとこを網羅した技あり。
トム・クルーズも市井の人として手堅い演技だ。
 ただここで新しい発見は、スピルバーグが敵との「戦争」にどういう
スタンスをとっているかがはっきりわかることだ。
できるだけ戦うなという主人公を最後まで貫き通す。これは
9.11のテロ戦争に対するひとつの気分と姿勢だと考えられる。
そしてそのためには
普通の人(しかしあくまで戦おうとする人)を殺してしまう。
この白黒の付け方は、戦う
アメリカの範疇でのyes,noの域をでていないのではないか。
このスピルバーグの変化は、ラスト近くの円盤から出てくる
エイリアンの死んだ手に象徴的だ。
「E.T」のラストの手とは対照的になっている。
ここには、もはや無邪気で陽気でどこまでも楽天的なアメリカはないのだ。




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# by stgenya | 2005-07-07 23:30 | 映画・ドラマ

霧笛荘夜話

浅田次郎の去年出た小説。
横浜の港の近くの一階が半地下になった風変わりな洋館の
安アパートに住む人々の人生模様を短編集のようにつづった
物語。
 東北から身一つで出てきたホステスや行き場のないちんぴら
、バンドボーイ、特攻隊の生き残りのマドロスさんなど・・・・
特に下っ端の若造に刑務所から出てきたらなめられてしまう
お人好しのチンピラが唯一得意なのが「かんかん虫」という
船についたフジツボをぶら下がって取る堅気の肉体労働だ
というのもせつないし、体の不自由な姉が弟のために尽くし
すれすれの愛情を交わすところとかいい話がそれぞれに詰
まっているけど、ただ全体に台詞が古くさく時代劇か思われ
るくらいステレオタイプなのがきになった。d0068430_2147308.jpg
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# by stgenya | 2005-06-18 21:48 | 文学

「茶の味」は、少なくていい味がでる

石井克人の去年カンヌへ持って行った「茶の味」。
 「アメリ」のような奇抜で日常と空想の入り乱れた映像
表現が持ち味の家族映画である。
 まず噂通りラストは少しホロッとくる。漫画家だったお
じいちゃんと大きな自分の空想から抜け出せない孫娘
との奇妙な関係がおもしろい。誰でも小学生のころこんな
空想に囚われるものだ。退屈な朝礼で全校生徒が炎天下
運動場に並んでいるとき校舎の屋根からゴジラが出てきた
らさぞ面白いだろうなあなんて空想して先生の話を全く
聞いていなかった幼年期を思い出す。
 ただこのバラバラに見えてある距離感をもって繋がって
いる春野家の描き方が雑でそれぞれのキャラがもう一つ
練り込まれていない。アニメーターに復活をかける手塚母
はまだしも三浦友和と淺野忠信は、相変わらず同じような
演技しかできなくてまるで春野家のお客さんのようだ。
 少なくても淺野のエピソードをそっくり外したらもっといい
映画になっていた、

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# by stgenya | 2005-06-12 20:16 | 映画・ドラマ

VITALヴィタール

塚本晋也の新作。解剖学を学ぶ学生の
ご遺体にのめり込んでいく姿を「六月の蛇」
につづいて雨を使ったりして描いている。
 ストーリーは、交通事故で記憶を失った浅野
忠信がかつて付き合っていた女の子KIKIが
いっしょに事故で死んで献体で解剖教室に
預けられているのを知らずに淺野自身が
解剖わ担当するというものだが、そこはミス
テリーでもサスペンスでもホラーでもなく、
塚本の倒錯フリークが主要なモチーフとなり
お互い男女が首をしめる行為でエクスタシー
を得る欲望の内面に進んでいく。
 「クラッシュ」という映画があったがあれに
近い。ただ全作に比べて掘り下げが足らなか
った。ロン毛の淺野の演技が違うように思った。



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# by stgenya | 2005-06-12 05:54 | 映画・ドラマ

sawについて

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ある日気が付くと汚いバスルームに二人の男が鎖に向かい合わせで繋がれている。
二人の間には自殺した男の死体がある。設定から面白そうだが、医者とその浮気を探偵していたカメラマンだとわかる。つまり話の中身がわかってくるとつまらなくなる。ましてノコギリが足を切るためにつかわれるのはどうも安直だ。こういうのは落としどころが難しい。発想が命。とても惜しい。
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# by stgenya | 2005-06-11 11:01 | 映画・ドラマ

新作映画「オペレッタ狸御殿」

鈴木清順の「オペレッタ狸御殿」
    82歳でこれだけ自由闊達に映画がつくれたら
    すてきなことだ。
      これは、又84歳の木村威夫というデザイナー
    がいたのでなりたった企画でもある。セットと衣装
    の斬新で統一された色彩と配置の美術の表現力。
    これが清順の映画話法をして一級のラブストーリー
    に仕上げている。チャン・ツィーの復活する件の演技
    は、思わず落涙だった。
      かって木村恵吾の初版「狸御殿」から川島透の
    チェッカーズ狸御殿」まで何度も映画化されている
    エンターテイメント素材だが、今回の清順のものは、
    どれにも似てなくて、むしろ何に近いかといえば、
    フェリー二の「アマルコルド」、「道化師」に似ている
    と言った方がいい作品である。
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# by stgenya | 2005-06-10 22:01 | 映画・ドラマ

6/10太陽族映画「逆光線」を観て

「逆光線」’56年日活映画
   「太陽の季節」の後つくられた日活映画。北原三枝
   が主演で当時の女子大生の反モラル的な生き方
   を描いたもので渡辺美佐子の同級生や安井昌二
   の恋人と奔放に付き合う中、家庭教師宅の父親と
   性的関係を持ってしまう主人公。
    一歩間違えばピンク映画になりかねない題材を
   「自分が愛する」という本心に忠実であろうとする
   テーマが貫かれている。監督は古川卓巳で脚本
   は池田一朗との共同である。
    内容の良し悪しは、ともかく昭和三十年代の大
   学生が毎日歌声喫茶に通いハイキングと称しては
   上高地でロシヤ民謡を歌い、山岳唱歌やフォーク
   ダンスに手を取り合っている若者の姿が健康的す
   ぎてテーマとの乖離がありすぎるようでとても違和
   感を感じた。
   ただ北原三枝の大胆な中年男を誘惑する顔は、
   一見に値する
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# by stgenya | 2005-06-10 14:22 | 映画・ドラマ